相続で借金が見つかり相続放棄するときに注意しなければならないこと
借金が残ったときにはその性質に注意
故人の相続をするときにカードローンなどの借金があるときには注意が必要です。まず最初に必要なのはその借金の返済が死亡したときにも有効なものであるかどうかを確認しましょう。借金には大きく分けて二つの種類があります。一つは借金した本人が死亡した場合にはその借金は無くなってしまうタイプのもの、そしてもう一つは本人が亡くなってもその負債が継続して残るタイプのものです。
どちらのタイプの借金であるかはその借金の性質によっても変わってきます。カードローンなどのように保証人や担保が必要ない借金の場合には多くの場合その借金は本人の死亡によって消滅します。その借金がどのような性質のものかは契約書に記載されていますが契約書の所在も良く分からないような場合には貸し付け元に確認をしてみるのも方法の一つでしょう。
しかし中には本人が亡くなったことで消滅してしまう借金であるにも関わらずそれを伝えずに遺族に支払いを迫るような業者も少なからず存在します。そのようなケースを避けるためには請求が来ても対応しないという方法も取ることができるでしょう。請求が来たときには本人が死亡している旨のみを伝え、そこでも請求されるような場合には弁護士に相談していると言うことを伝えるだけでも効果があります。
借金が残る場合の注意点
注意しなければならないのは本人が死亡しても借金が残る場合です。貯蓄と借金が両方残っている場合にはその中で清算を行うことになります。その結果貯蓄が借入れを上回るのであれば特に問題はありませんが、問題は借入れのほうが大きく清算しても借金が残る場合でしょう。
借金が残った場合に良く取られる手段として「相続放棄」と呼ばれるものがあります。この方法はつまり全ての相続を放棄すると言うことで、借金が残ったとしてもそれを支払う必要はなくなるというシステムです。しかしこの相続放棄においても注意しなければならないことがあります。
相続放棄は借金が消えてなくなるわけではない
相続放棄では全ての相続を放棄することになります。都合の悪い部分だけを放棄することはできません。土地建物や預金など借金を含めた全てを放棄することになるのです。放棄した後で「やっぱり相続する」ということもできません。全ての面で完全に放棄する、それが相続放棄なのです。
更にもう一点特に注意しなければならないのは仮に一人が相続放棄をしたとしてもその財産や負債は残ると言うことです。相続には順番があります。その順番の上位のほうで相続を放棄したとしても残った財産や負債は下位の相続の権利を持った人物に移るだけです。最終的に全員が相続放棄を行うことが前提であれば全く問題はありませんが、相続するであろうと思われた人物が唐突に相続を放棄してしまえば親族間でのトラブルに発展する可能性もあるのです。
まずは親族で相談が必要
相続を放棄するときにはこのことを考えて放棄を行わなければ唐突に親族に負担を強いることになりかねません。まずは親族間で話し合いをした上で放棄を行うことが最も望ましいと言えるでしょう。仮に自分が相続放棄したとしてもその財産は消えてなくなるわけではありません。兄弟がいれば兄弟に、いないようであれば叔父や叔母に、場合によっては自分が放棄したことで故人の孫である自分の子供に請求が行くこともあるということを覚えておきましょう。