繰り上げ返済は必ず得をするわけではない!繰り上げ返済のリスクとは
繰り上げ返済のデメリット
各種ローンを利用したとき、資金に余裕が出来れば出来るだけ早めに返したいと思う人は多いようです。特に日本のように「借金は悪」という感覚が根付いている国ではこのように思う人は少なくないと言えるでしょう。しかしこの繰上げ返済には早めに返せると言うメリットだけではなく多くのデメリットも存在します。
繰り上げ返済の仕組み
まずは繰り上げ返済について内容を確認しておきましょう。借金をしたときには月々の支払額が決められその金額を毎月支払っていくことになります。借金の残高が残っていれば利息もその分発生すると言うことになりますので、これを軽減したり支払い期間を短くすることを目的にまとまったお金を毎月の支払いとは別に支払ってしまうことを「繰り上げ返済」と言います。
多くの場合には住宅ローンなどある程度大きな金額の支払いをしていくようになったときに「繰り上げ返済」という言葉が用いられますが、広い意味で言うと今ある借金を前倒しで支払えばそれが繰り上げ返済と言うことになるでしょう。たとえばローンで買った商品の残債を少しまとめて支払うと言った場合も「繰り上げ返済」になります。
繰り上げ返済の時にはメリットが多く語られます。精神的な負担が減少したり、支払う期間が短くなったり、毎月の支払い金額が減少したりというメリットには目が行くものの、デメリットについてはあまり知らないという人も多いのが現状ではないでしょうか。
余裕資金の減少
繰り上げ返済のデメリット、まずはその後の資金繰りについてです。特に新たな収入が簡単に得られないような状況であれば特別な出費や急な出費が発生したときに繰り上げ返済をしたことによって最終的に支払いが遅れることもあるでしょう。そうなれば結局、借金は元に戻り信用は失うと言うことにもなります。充分な資金を確保した上での繰り上げ返済でなければ毎月支払い金額や精神的な負担に思ったほど効果はありません。
税金について
住宅ローンの場合には税金の面でも注意が必要です。現在は「住宅ローン特別控除」というものがあり、確定申告時に1%ほどの税金が戻ってきます。金利が低く1%を切る金利でお金を借りている場合にはそのまま借りておいたほうがいい場合もあるでしょう。生まれた余裕資金は投資にまわすことで繰り上げ返済よりも多くの金利を得ることも可能です。
また、この住宅ローン特別控除は返済回数も影響してきます。期間を短縮し一定の返済回数を下回ってしまえば住宅ローン特別控除が受けられなくなることもあります。繰り上げ返済の際に金額を短縮する方法を取るか、期間を短縮する方法を取るかによっても変わってきますが、一概に「繰り上げ返済は良いこと」ではない例の一つです。
同様に住宅ローンの場合にはローン対象の物件の売却時のことも考える必要があります。ローンが残っていて物件を売却したときに売却金額がローンの残高よりも低い(つまり支払ったローン金額以上の損失が出ている)場合には税金が還付されることもあります。繰り上げ返済によってローン残高が減っていればこの還付は受けられません。
早く返せばいいとは限らない
このほかにも繰り上げ返済に手数料がかかる場合などもあり一概に「早めに返したから良い」というものでないのが現実です。確かにメリットもありますがデメリットも考えた上で「どちらが得か」をしっかりと考えて行うことが望ましいと言えるのではないでしょうか。